トランプ演説後に考える我が国の現状

本稿を執筆する前に、先日終了した東京都知事選についての総括を書こうと思っていました。しかし、メルマガでの執筆を依頼されたため、今回の選挙における総括とこれからの桜井の活動に関する展望については、メルマガでの配信記事とさせて頂きます。桜井誠を日ごろから支持される皆様には、是非メルマガで確認頂ければと思う次第です。

さて、本稿執筆時点で米国大統領選挙、共和党大会が幕を下ろしました。4日間の大会は様々なところで関心を呼び、米国だけではなく世界各国で詳細に内容が報道されることになっています。特に、つい数日前に暗殺未遂事件が起きたばかりのトランプがどのような発言をするのか?について、多くの人が関心を寄せたことは当然と言えば当然だったのかも知れません。

トランプの発言は主に次の点に要約されます。まず周囲への感謝そして銃撃事件についての発言。さらに、米国を一つにまとめようとする意志、中産階層以下への大規模減税、バイデン政権が進めるEV普及の見直し、ハマスへの人質解放の要求です。これらが、相まって彼が何を目指し、何をしようとしているのかが見えてきます。

まず周囲への感謝を持ってきたことは、これまでのトランプの一匹狼の印象を変えようとする動きなのでしょう。銃撃事件を語ることで同情票を共和党だけではなく、広く無党派の国民にも呼びかけていることを考えれば、これまでの吠えまくる狂犬トランプのイメージから抜け出し、米国の大統領としてのイメージを定着させようとしていることが読み取れます。

その意味では、先日副大統領候補としてJ・D・バンス上院議員を指名したこととも関係してきます。端的に言えば、これまでの「狂」「怒」「吠」の部分は、バンスに代行させ、自分は合衆国大統領としての姿を国民に印象付けるという、イメージ戦略に出ているのではないかと思うのです。実際、今回の大統領候補指名受託演説の中では、これまでのような激しいバイデン批判は控えられています。

そして、肝心の公約の柱へと演説は移っていきますが、一番の公約は「中産階層以下への大規模減税」そしてこれは、翻って米国経済を第一に考えていることがよく分かるものです。日本第一党が主張する時限的無税政策に通じるものであり、まず国を救うことを目指すナショナリズム政策、日本では経世済民に近い考えではないでしょうか。

大規模減税を行うには、米国議会の上下両院を押さえる必要があります。今回の大統領選挙と合わせて、米国下院すべてそして上院の三分の一(33議席)が選挙で選ばれます。おそらく、今回の選挙で上下両院を共和党で押さえることを想定しての公約なのでしょう。仮に両院を押さえられずに、公約が果たせなかった場合は、その責任を民主党に押し付けるのは火を見るより明らかです。

最後にウクライナ問題ではなく、イスラエル問題でハマスへの恫喝を持ってくるあたりをみるに、彼が暗殺未遂事件で心を入れ替えた…わけではないことを物語っているでしょう。トランプはユダヤ系と非常に親和性の高い、米国耶蘇教長老派に属しています。宗教派閥だけの問題ではありませんが、ユダヤとの関係を鮮明することで、民主党の切り崩しを狙っているのは明らかです。

このように着々と第47代米国大統領の座が見え来たトランプの姿に、日本の先行きが余りにも真っ暗な状況であることを指摘しなければなりません。まずアメリカファーストに対抗できる、主義主張を持っているのは日本第一党の「日本第一主義」「ジャパンファースト」だけであり、その他の政党・政治家は自民党から共産党まで、誰も彼もトランプ復権に右往左往するだけです。

トランプ復権後の米国政府が、我が国に安全保障の点で駐留米軍費用の更なる負担を求めてくることは自明です。ただでさえ、今後5年間の間に2兆円の増額を決めたばかりなのに、更に負担せよというのですから、我が国とっては溜まったものではありません。この一点を見ただけでも、今後の防衛増税(ほぼ駐留米軍費用)は避けて通れない道でしょう。

しかし、この時点で我が国は「自国は自軍で守る」ということについて、国内世論は分裂し、百家争鳴状態になることは簡単に想像がつきます。結局、国内がこの有様では自衛隊の強化など出来るものではなく、米国の言いなり通りに「金」を支払うほかないでしょう。情けない国家ですが、気概を持てない馬鹿を選び続けてきた、有権者という名の馬鹿が作り上げた国家の成れの果てです。

さらに貿易面でもアメリカファーストを前面に立ててくる米国と正面切って渡り合える…そんな政治勢力は我が国には存在せず、いつものように自称専門家気取りの馬鹿がああでもない、こうでもないと喚くだけでしょう。戦うことを忘れた愚かな民族に未来はないのです。結局、我が国にとってトランプ復権は、国家の崩壊を早めるだけなのではないかと考えます。

間に合うかどうかは分かりませんが(十中八九は間に合わないでしょうが)病床の身であっても桜井誠も出来る限りのことをしていこうと思います。終の棲家を開放して、若い世代の教育に取り組みたいと考えています。日本人としての気概を持ち、誰を相手にしても胸を張って「日本第一主義」を堂々と主張出来る人材を一人でも多く育てて、世に送り出したいと願っています。