激変の予兆 米国情勢 ~ トランプ劇場 ~

世界は激変しています。世界情勢に大きな影響を与える米国では、民主党バイデン現政権 vs 共和党トランプ前政権のリベンジがマッチアップされつつあります。共和党の予備選、最初のアイオワ州党大会ではぶっちぎりでトランプが大統領候補に選ばれたことから、徐々に実現に向かって動き出しているとの見方も出来るのです。もし実現すると、どのような結果になっても、米国はよりいっそうの分断が進むと予測されています。つまり、民主党を支える富裕層 vs 共和党を支持する中産階層以下の民衆の代理戦争の様相を示しているのです。

もちろん、実際にはこれに加えて、人種問題やLGBT問題など様々な波乱要素があるのでしょうが、桜井が現在の米国を俯瞰して見るに、この富裕層と中産階層以下の民衆の分断、戦いという構図が作られつつあるように思えるのです。民主党がなぜ戦争を欲するのか?簡単なことです。彼らのスポンサーである産軍複合体が、それを望んでいるに他ならないからです。では、共和党(というよりトランプ政権)ではなぜ戦争が起こりにくいのか?これも簡単です。実際に戦争に行くのは中産階層以下の民衆であり、出来るなら行って欲しくないと兵士の親や家族が願っているからです。

願いを叶えるのが政党の役割であるなら、この状況は至極当然のことと言えるでしょう。また、仮にトランプ復権になれば、米国内的には移民規制が大々的に始まり、またオバマケアの見直しが行われる可能性が高いと思われます。移民規制はトランプの代表的な政策であり、前回はこの舵取りを誤ったことでラディカルコンサバティブ(過激保守層)の支持を失ったことも、彼が政権を失った原因でもありました。であるなら、今度は思い切った移民排除を前面に立ててくる可能性があるのです。

さらに、オバマケアはトランプ前政権時代に手を付けられなかった問題です。簡潔に言えば米国版の国民皆保険制度ですが、それが中産階層以上の富裕層にだけ恩恵が集中し、中産階層以下の民衆にとっては負担だけが増すという結果になっているのです。しかし、これに手を付ければ、当然富裕層の怒りを買うことも現実であり、トランプ前政権では自らの支持層(中産階層以下)の負担をわずかに減らすくらいしか方法がなかったのです。だからこそ、今回政権を担うことが出来れば、思い切った改革をやる可能性もあります。

さらに米国の貿易問題でも、すでにトランプ陣営は世界最大の輸入国たる米国において、輸入関税を一律10%以上にすることを公約に打ち立てています。これが実現すれば、日本にとっても非常に厳しいことになりそうです。何にしてもドラスティックな変化が米国社会に訪れる可能性が極めて高く、またそのドラスティックな変化を米国民が恐れないことが、トランプ復権につながるかも知れません。我が国では期待出来ないことが、米国では起こり得ることに少しだけ羨ましいと思う次第です。

そして、なぜトランプにこれだけ期待が高まっているのかと言えば、大統領の任期によります。憲法上、米国大統領は三選禁止になっており、仮に復権したトランプも次の任期、つまり四年間で大統領職を去らなければなりません。要は後がないわけですから、思い切った改革を実行出来るという期待が米国では高まっているのです。また、トランプ側にしても、盤石の体制で次の(共和党)候補者に大統領職を譲ることが出来れば、大統領の免責特権で死ぬまで安泰という目算もあるのかも知れません。

米国の姿をみるにつけ、これからの日本は非常に厳しい立場に追い込まれることは確実でしょう。東アジア情勢に関心度が低い米国共和党にとって、支那との関係を重要視することが予想されます。その場合、我が国の立場は相対的に低下するのは当たり前です。日本に出来ることは、安倍晋三以上の従順なポチを演じて、米国の関心を買う以外にないのではないでしょうか。溜息しか出ない状況です。米国第一主義に対抗出来るのは、日本第一主義以外にあり得ないことを広げてほしいと願うばかりです。